西丹沢 東沢の湧水は、坑道から流れでていた(動画あり)
少なくとも私が中学生の時(52年前)今は亡き日地の地図に仲ノ沢林道から中ノ沢経路を経て欅平から東沢を遡行して東沢乗越を経由、大石山に出るバリエーションルートが載っていた。私が丹沢のバリルートに初めて入った記念すべきルートであった。
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日地出版 丹沢山塊 S45年(1970年)定価200円より引用 |
その後この辺にある鉱山跡を調査していた時に丹沢鉱山を見つけた。(2006年)
その時の湧水口は、周りを土砂で埋もれた中から湧き出ていた。(画像有)
それから何十回この辺を歩いたが湧水口は、変わらずおいしい水を提供してくれていた。
昔からここを通るたびに、この湧水口がなんとなく呼びかけてくるような気がしてならなかった。「こっちだよ」と (この湧水口がヒントになり上部ある丹沢鉱山を見つけることができた)
今回 本当の姿を知りたく、ひょっとしたら坑道から水が湧き出ているのではないかと見当をつけ、堆積した土砂(主に上からの落下物)を湧水口両端から迫る岩盤まで取り除いて見ることにした。
土砂を取り除くのは簡単だが上部からの岩石を含んだ土砂が落ちてくる。せめて坑道の入口まで掘って、さっぱりさせてやりたい。
まずは右側の土砂の堆積が多いので取り除き始めた。そして湧水口の中を探った。ある程度頭が入る位切り開いて奥を見ると四角四面の江戸時代の掘削法による坑道が見えた。坑道入口上部の土砂を取り除き、やっと半身が入るように坑口を広げた。度々上部からの土砂の落下があった。
中は、手前に植物の根で固められた自然のダムができており、地底湖のように湧水が溜まっており、一部の脆弱な部分が決壊して湧水が流れ出ていた。
丹沢鉱山の中の左側の側坑道も江戸時代に掘られた坑道であるが、この坑道も同様な様式の坑道であった。
丹沢鉱山の採掘者も単なる湧水口としてとらえられていたようだ。「丹沢今昔」の奥野幸道さんの私信からもそれが伺える。まさか坑道が埋まっていたとは!!
中を見る際は、くれぐれも上部崩壊地からの落石、崩落に注意して下さい。
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以下動画
湧水口の動画 この奥に坑道が潜んでいるとは…
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2006年当時の湧水口 この湧水口がヒントになり上部にある丹沢鉱山を見つけた 堆積物に覆われているのが判る。その当時のデジカメなので拡大すると画像が粗い 丹沢の鉱山跡を探る 8 丹沢だより433号 2006/9 この記事が丹沢鉱山の紹介記事 |
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2023年3月初めの湧水口 右側の堆積物が湧水の水勢で大分少なくなっている 左側は、岩盤なので水勢で削れない。水勢で土砂が流された後は根が残っている。 湧水口は、木の根で覆われている 上に生えている木は土砂で押されて下に傾いている |
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まずは、山神様に安全祈願でお塩とお神酒を撒く 表面の根を取り払い右斜面から岩盤が見えるまで堆積物を取り除く |
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湧水口の根が複雑に絡み合い除くのが大変 |
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湧水口の上部の堆積物を落とす 根を揺らすと間に挟まっていた岩が落ちる |
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岩盤が見えるまで湧水口の上部を崩す。振動で上部斜面から土砂、落石多数発生 上部斜面は不安定 |
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湧水口の岩を取り除くと奥に空間が見える |
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iPhoneを手で差し入れタイマーで撮影 両手が入らない 奥に江戸時代の切削様式の坑道があることを確認 ダイナマイトで掘削すると坑道は丸くなる。この形は鑿で盤切した坑道 |
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更に堆積物を取り除き坑道口を露出させた まだ下部には堆積物がある |
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堆積物は、真砂土で中に木の根と岩が埋まっている |
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手前の堆積物が取り除いた土砂 左側に水流があるが水勢があるので土砂が流れ出る |
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坑口の土砂をやっと取り除く 上部が不安定で根に触ると落盤するので不安定な岩と土砂を除去 |
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匍匐前進で内部に入るがまだ前方には土砂の堆積物がある 根が複雑に絡み合い土砂の流出を防いでいるようだ 左に湧水が流れている。水勢はあるが根と土砂で土砂の流失を防いでいる |
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地底湖 ここまで入るのが限界 うつ伏せ状態(動画あり) |
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地底湖から流れ出す湧水 水勢は強い 但し木の根と真砂土で作られた天然ダムで堆積土砂の流失が免れている |
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奥は、丹沢鉱山と同じように左側に曲がっている 坑道の内部は、崩落の跡もなく健全な状態 |
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拡大 堆積物は奥まで溜まっている |
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露出補正 奥は左側に曲がっている。まだ行き止まりではない |
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更に左側の堆積物を落とす 坑口の四面四角が見てとれる。
少なくとも丹沢鉱山の掘削が始まった昭和20年代にはこの坑道は、単なる湧水口として取り扱われえていた。(奥野幸道氏の私信) 今から150年以上前の坑道が明らかとなった。
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内部にはサワガニがいる サワガニを中間宿主とする感染症があるようなので、この湧水は本当は飲めない? |
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左⇒取り除いた岩石 右⇒取り除いた堆積物(真砂土) |
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この上部の堆積物が滑り落ちる可能性 大 厚さ50㎝位 長さ3m位 既に木が傾いている |
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周りを整頓して、上部崩壊の恐れ有のピンテを付け内部から見つけた銅鉱石を置く お塩で清めて作業終了 |
以下動画
匍匐前進で内部に入る 坑道内部から外へ 東沢湧水口に残置されているレールが最後に見える
更に入口の土砂を取り除き奥に入る 匍匐前進の距離が長いので途中で引っかかる