玄倉鉱山 第三の坑道探索(過去の新聞記事から)

 玄倉鉱山は、過去に何回か訪問している。

「丹沢だより」は丹沢自然保護協会の協会誌、「丹沢今昔」の筆者 奥野幸道氏も投稿されている。

丹沢の鉱山跡を探る 6  丹沢だより431号 2006/6(丹沢、玄倉鉱山の調査)

丹沢の鉱山跡を探る 7  丹沢だより432号 2006/7(玄倉鉱山 第一坑道発見)

丹沢の鉱山跡を探る 玄倉鉱山(モチコシ沢 源頭部 鉱山跡) 再訪 (第二坑道)

発見者は、YAMさん・向山ノ頭、モチコシ沢鉱山跡、女郎小屋左岸尾根 2009/9/20

丹沢山地の鉱山跡の一覧と丹沢自然保護協会誌「丹沢だより」に投稿した掲載号



以下の新聞記事は、「丹沢今昔」を書かれた奥野幸道さんから頂いたもの
坑道の高さは優に4mはある。幅も6m位ある
 この記事に出て来る日本ウラン工業は、玄倉鉱山の採掘許可を取った会社であり、モチコシ沢源頭部の玄倉鉱山(第一坑道、第二坑道)を掘った鉱山主である。

 今回 この写真の場所を調査すべく玄倉鉱山を再度訪問した。ひょっとしたら見落としている側坑道の先に、この写真に写っている坑道が、あるかもしれないとの淡い期待をこめた訪問であった。しかし結論から先に書くと、見つからなかったのである。

玄倉鉱山への下降
 一般的な下降路は、モチコシ頭と裸山丸の鞍部からの下降だが、下り始めが垂直に近いので余りお勧めはできない。過去にスリップ事故で死亡者が出ている。ロープ確保での下降をお勧めする。
鞍部に生えていたアミガサタケ(食用)

奥が鞍部 この辺は傾斜は緩くなっているが気が抜けない

まだ気が抜けない傾斜が続く

2006年に見つけた第一坑道(発見順)
長さ約17m 左側に下に掘った坑道があるが水が溜まっている。側壁に銅鉱脈あり。

大分 入口が狭くなっているが1mも進めば立って歩ける


銅鉱脈

脇に下に掘り進めた穴があるが水が溜まっている

穴を覗く 水は澄明

入口から5m 銅鉱脈はこの部分だけ

入口から10m
坑道は斜頸した岩の間をぬって掘り進んでいるので、片方の岩盤が平滑

入口から15m 黒い部分はコウモリの糞

入口から17.5m 切羽にぶつかる

結論:探索したが坑道の分岐も見られず、また埋められた坑道跡もない。第三坑道は、こ
   の場所にない。 右にブラジャーの片割れ なんでこんなところに?


2009年に見つけられた第二坑道(発見者YAMさん・番号は発見順)
第二坑道入口 上部からの崩落岩石が多い。中に入れば堅牢な坑道が続く

入口から5m ネコ車が放置

入口から10m 直線的に坑道は続く

入口から15m

入口から20m

入口から25m

入口から30m 上部からの剥離岩石有り

入口から35m

入口から40m

入口から45m

入口から50m

入口から55m

入口から60m

入口から65m 右に曲がる 約30度

入口から68.6m ロープ末端 右に曲がる
再度65m地点から測り直し

入口から65m

入口から70m 右に曲がってまた左に曲がる

入口から75m 奥は左に曲がる

入口から80m

入口から85m さらに左に曲がる

入口から90m バケツ、空き缶、瓶あり

入口から95m この辺は直進

入口から100m この辺は直進

入口から105m

入口から110m 右に側坑道

入口から112.5m 右に側坑道

側坑道は、奥行き2m 塵取り ガラス瓶散乱 行き止まり

入口から115m ほぼ真っ直ぐ

入口から120m

入口から125m

入口から130m 金属製塵取り
奥にロープ末端の68.6m表示ピンテ 壁にバールのようなもの

傍にあったバールで133.6m(65+68.6)地点を0mに設定

入口から138.6m 奥にバケツ、金属製塵取り

入口から143.6m 鑿、バール 金属製塵取り

入口から148.6m 切羽が見える

入口から153.6m切羽 到達

結論:探索したが坑道の分岐も見られず、また埋められた坑道跡もない。第三坑道は、こ
   の場所にない。

玄倉鉱山からの離脱
 もと下りてきた鞍部からの経路は、最後が垂直に近いので第二坑道脇の細い沢を登る
脇の細い沢を登る



傾斜は、緩い

正面の枝尾根を直登してドウカク尾根稜線に出て反対側に下降
下降点は、東沢乗越直下の斜面 こちらの方が断然早い


結局第三坑道は、発見できなかった。但し 新聞記事の場所は、必ず有るはずなので別の地点に坑道が有るはずである。

 玄倉鉱山の鉱物種は、金、銀、銅、ビスマス、コバルト、モリブデン、タングステンと言う相当たるもの。新聞記事にはガリウムも書かれている。第二坑道には銅の痕跡もなかった。

 セレンディピティの著者宮永氏は「世の中にはだれかが見つけてくれるのをじっと待っている宝物がある。その宝物に気づくのは、強く願い続ける意志と、地道な努力の積み重ねが必要だ。」と言っている。
 また氏のWebから読めるコラムには、虫の目、鳥の目、歴史の目で物事を見よ。と言っている。虫の目とは、細かく観察すること。鳥の目とは、広く異分野まで俯瞰すること。歴史の目とは、古い事例を掘り返すこと。とある。鉱山跡は、場数を踏み、転石の色・形、周囲の焼けの状況、文献情報(古文献)、地形判断、強い意志などの山見の術を習得する必要があるが、まだ未熟者の私は、第三坑道を見つけることができない。



コメント

このブログの人気の投稿

丹沢の鉱山跡を探る 14  丹沢だより438号 2007/3 (三保鉱山)

丹沢の鉱山跡を探る 丹沢鉱山(丹沢 東沢 鉱山跡) 再訪

丹沢の鉱山跡を探る 13  丹沢だより438号 2007/2(稲郷鉱山・高松鉱山)