丹沢の水力発電所を探る 4 発電所へ行く途中の主要な施設


第一発電所から奥の熊木ダムまでの経路に途中色々な施設がある。
順に紹介しよう。
 

神奈川県企業庁 玄倉水位雨量観測所 

 

堰にある一定の大きさの開口部の水位を超音波測定器で測定して、開口部の水量を計算で求めている。大学の時に原理を水理学を学んだが忘れた。
 
立間堰堤と副堰堤(上部が立間堰堤)


観測小屋の下部が空洞になっている。

空洞部分に水を取り込む開口部

水中にある部分と空洞部が繋がっている。
 
 
 


新靑崩隧道

 
この部分から隧道を掘削し始めた。(RCネット工法研究会 Webより引用)
                                                            

 県の計画では、新設部分は272mであるので既存部分は、55mである。
 
昔の靑崩隧道は、もっと短かかった。昭和27年に隧道が開通している。
現在 立入禁止(電話線は、旧道経由)

 

旧道を望む。 林道が見えるが、現在はこの部分が隧道となっている。


 

ハンス・シュトルテ著 続丹沢夜話の丹沢のトンネルの項pp72-76では靑崩隧道のことが取り上げられている。工事上のミスがあり、両側から掘り進んでいた隧道が途中ですれ違い、修正のため屈曲した形となったとの記載があるが、真偽のほどはわからない。昔の靑崩隧道は、途中に明り取り用の穴が開いており、ヘッデンなしでも目が慣れれば数秒の間暗闇を過ごせば、出口が見えた。しかし新靑崩隧道では、その手は使えない。
 
新靑崩隧道に入るときは、マシラさんお勧めの触覚法で、壁面を伝いながらヘッデン無しで入るのだが、左と右とで途中感覚が違う部分がある。画像を撮ると、一部車がすれ違えるように待避所が設けられていた。道理で玄倉ダム方面奥に向かって左側を触覚法で伝い歩くと、手ごたえ無い部分を通過すると思っていた。

 
旧道との接合点にはフェンスで仕切られた扉があり、目が暗闇に慣れると薄っすらと、明り取りの穴からの光が見える。
 
フェンス奥の旧靑崩隧道 壁にロックボルト工法で補強の跡がある。
この接合点には、旧道に沿って張られた電話線が引き出されておりこの部分から旧道のトンネルが生かされている。
 
 新靑崩隧道とは「イ」の字形に接合されている。「ノ」の部分が旧靑崩隧道
トンネルの壁には強度を高めるためのロックボルトが打ち込まれている。サイレン線を旧靑崩隧道から新靑崩隧道に移設した費用は、ちなみに358万である。電話線のほうはNTTとしても費用は掛けたくなく、最低限の補修を行っている。

中学生の時の写真であり、今は似ても似つかない顔になっているので、晒して問題ないが靑崩隧道の出口で撮った記念写真には、コンクリートで巻き立てられて無く、岩盤むき出しのトンネル出口があり、また現在の洞門は存在していなかった。電話線が垂れ下がっている。

新靑崩隧道の総工費予定額は、足掛け3年度分で5億弱である。
工期 平成21年9月25日から平成23年7月17日
県営林道玄倉線2号隧道 債務負担行為見積書
県営林道玄倉線2号隧道整備工事費


玄倉地殻活動観測施設(略称H.KRKH


追記 小屋の右に出ている三角の突起は、GPSアンテナ 円筒形の筒は雨量計
 また隣の円筒形の頭頂部にあるドームもGPSアンテナ




 

                        

独立行政法人の防災科学技術研究所の地殻活動観測施設があり、深さ183mの観測用井戸が掘られている。

あのクリーム色の鉄管は井戸上部の構造物であり、あの管の中に速度型地震計3成分、振子型傾斜計2成分、坂田式三成分ひづみ計が吊り下げられている。そして前兆としての異常地殻変動の検知を行っている。これは神奈川県西部地域が近い将来M7級の地震発生の可能性が高いためであり、防災科学技術研究所では、多くの観測点を設けている。神奈川県西部では玄倉のほかに平塚、真鶴等に観測点がある。

玄倉の観測点は、IBOS(ボアホール式複合観測装置)1号機であり、198812月に深度183mの孔井中に設置され、19904月よりデーターは電話線を使ったテレメトリー(古い言葉)で送られている。ちなみに井戸上部の半円形の装置はGPS受信機であり、緯度35.4443経度139.1157高度690mとなっている。携帯型GPSのキャリブレションに位置情報がつかえるかもしれない。
神奈川県西部におけるIBOSによる地殻変動連続観測結果


第二発電所を抜けた先にあるトンネル脇の小屋2軒

 

 

これは、どうやら第二発電所を建設する際の火薬を保管した火工所のようだ。入口には鉄製の頑丈な扉、内側には木の扉で内部は木張りである、上部と下部に換気口がある。今回第二発電所に火工所の記載があったので、火工所の構造の要件を調べると一致する部分が多い。適度な日当たりがあり乾燥した南向きの斜面に立っており構造(内装が木ばり)からして火工所の要件を満たしている。


 

 

 

 

コメント

このブログの人気の投稿

丹沢の鉱山跡を探る 14  丹沢だより438号 2007/3 (三保鉱山)

丹沢の鉱山跡を探る 丹沢鉱山(丹沢 東沢 鉱山跡) 再訪

丹沢の鉱山跡を探る 13  丹沢だより438号 2007/2(稲郷鉱山・高松鉱山)